テキストメモツール比較、あるいはhowm(一人お手軽wikiもどき)を使い始めた話
考え事をメモしたり、各種記録をつけたりといった、メモツール界隈(?)には以前から関心がありました。
ここ最近Emacsを使い始めたタイミングで丁度良さそうなツールを見つけたこともあり、各種情報をまとめてみることにしました。
ツール比較とか
ChangeLog memo
- 1つのテキストファイルに、時系列で、日付を付けて、メモを書き連ねます。
- 任意のテキストエディタで即日開始可能な手軽さがあります。
- 1ヶ月ほど運用して、割と良さそうではあったのですが、結局移行しました。
- 書式がちょっといまいち好みでない。
- これに関してはオレオレ書式テンプレート挿入ショートカットを作って解決済みでしたが……。
- 1ファイル全メモだと、長いメモがあるときに邪魔。
- あとは、別書式のファイルを混ぜづらい、とか。
- 書式がちょっといまいち好みでない。
Org-mode
Evernote
- 超汎用・超多機能・商業メモサービス。
- 多ファイル形式対応、多デバイス対応。
- 思想上の理由により導入は見送りしました。
- 情報管理をサービスに完全依存はしたくない思いが。。
PoIC
- 情報カードと呼ばれる紙片に、1枚1メモで書き、時系列で保管します。
- 以前*3に1年くらい使っていましたが、嵩張る割に再利用も殆どしなかったため、運用停止しました。
- 思想的にはかなり共感するところがあったので、結局上手くいかず残念でした。*4
手帳(モレスキン、野帳、大学ノート等)
- 運用にあたっては、以下のあたりの形式付けは必須でしょう。
- 時系列での記述
- 分類別ノートor全分類混合(どちらが良いかは意見が分かれます)
- タイムスタンプ付加
- ノート全体への通し番号の付加
- 私の感覚としては、物理媒体は
- 書く
- 書けば書くほど嵩張る
- 書くのを躊躇う
- 書かなくなる
- と一直線に進んでしまうのが、どうもダメでした。
- パラパラめくるには良くても、検索もできませんし。
今回使ってみたもの
howm: Hitori Otegaru Wiki Modoki
- 1ファイル1メモで記述、日時ファイル名のテンプレート入りファイルを自動生成
- 基本的にはテキストファイルのみ。
- ツール自体はEmacs, Vim, Android等対応。iOS対応が欲しいです……。*5
- 時系列での一覧、全文検索機能を備える。
- おまけでスケジュール/TODO管理を混ぜたり、ランダム表示させたりも可能。
- メモ間の参照リンクや、タグ付け風のことも可能
環境構築
- Emacs自体に関しては以前の記事*6にあるように、導入済みです。
- howm本体はversion1.4.2をDL・展開して、Emacsのロードパスが通っている場所に配置。
- init.elはこんな感じです。大した変更はありません。
- MarkDownで書くためのテンプレート変更
- システムファイルの移動(
~/howm-conf
ディレクトリ)
(defvar datetime-format "%Y-%m-%dT%H:%M:%S") ;; 言語 (setq howm-menu-lang 'ja) ;; ファイルパス (setq howm-keyword-file "~/howm-conf/.howm-keys") (setq howm-history-file "~/howm-conf/.howm-history") (setq howm-menu-file "~/howm-conf/0000-00-00-000000.txt") ;; 「http://」でリターン押したら, URL を kill-ring へ (setq action-lock-no-browser t) ;; キーバインド (global-set-key "\C-c,," 'howm-menu) ;; 書式 (defvar howm-view-title-header "# ") (setq howm-template-date-format (concat "[" datetime-format "]")) ;; 検索 (setq howm-keyword-case-fold-search t) ;; load (autoload 'howm-menu "howm" "Hitori Otegaru Wiki Modoki" t) ;; disable auto-fill-mode (add-hook 'howm-mode-hook '(lambda () (auto-fill-mode -1)))
- メモのファイルは、自動生成される
~/howm/yyyy/MM/
ディレクトリの下に、yyyy-MM-dd-HHmmss.txt
形式で作成されます。 - ファイルや設定の同期はDropboxを使用しています。
- 上記では省略していますが、当然markdown-modeも導入済みです。
運用
C-c ,,
で初回読み込み- autoloadをrequireにして起動時読み込みでもいいかも。*7
C-c ,l
で最近の一覧表示C-c ,c
で新規作成- Save-And-Kill-Bufferも、キーバインドは変更していますが、導入済みです。
- 検索は
C-c ,s
か、一覧表示→RETで個別メモ→リンク上でRETの手順で見ています。 - メモ間リンクを張る場合は、参照先のメモのファイルを開いた上で
C-c ,c
します。 - 記述内容としては、以下のイメージ
- 予定やTODO管理は今のところ利用していません。
例
- 家計簿用の記録
# out bus \210 >>> money
[2015-01-30T09:32:22]
- 技術メモ
# NTEmacsにauto-completeを導入。 [2015-01-21T17:34:47] >>> emacs - ver 1.4は動かなかったため、ver 20150116.1520を導入。package.elから。 - ほかの幾つかのパッケージもpackage.el経由で取得するように変更しようかと思う。近々。
- ブックマーク
# [ASP.NET - Microsoft .NET Framework でシンプルな Comet アプリケーションをビルドする](http://msdn.microsoft.com/ja-jp/magazine/jj891053.aspx) [2015-01-06T14:32:54] >>> pg - Cometベースサーバーを調べてたけど地獄っぽい。
- 以前のメモへの言及*8
# ×××××の案件、結局×××××としてやることは無さそう。いったん棚上げ。 [2015-01-29T18:00:32] >>> ~/howm/2015/01/2015-01-28-104630.txt
お手軽に書いて、とりあえず放り込んでおけるのがいい感じです。一覧もそれなりに便利です。
実際にはもっと長めのメモもあったりします。URLを20個くらい並べたりとか。開発環境セットアップ手順とか。
一般論
所謂メモツールの利用という話だと、ツールが変わっても共通に思うのは以下のあたりです。
- 時系列で並べて保管すること。
- メモ毎にタイムスタンプを付けること。
- 最低限、作成日付がわかるようにすること。
- ポケット1つ原則(分類しないこと)。
- 嵩張らない媒体を選ぶこと。
- 場所や場面を選ばず書けること。
- 電子媒体なら、モバイル対応するか、一時的にメモ書きして転記するか。
- 記録用と、思考展開用の一時媒体は分けること。
- 記録用モレスキンノートと、展開用のプロジェクトペーパー、など。
- 特定のサービスやツールに深く依存しすぎないこと。
- 全文検索や、メモ間の直接リンク、タグ付けなどは、所詮は付加的要求だとは思います。
- 全文検索に関しては、在ると無いとでは大違いですが……。
その他、原則的な話に関しては、古典を読みましょう。
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といったところで、今回は以上です。